リハきそ

整形外科領域を中心とした理学療法の臨床・教育・管理などの情報を発信します!

疼痛

脳報酬系と鎮痛のメカニズム

脳報酬系は、中脳腹側被蓋野(VTA)から、大脳基底核である線条体に存在する側坐核(NAc)、前頭前野に投射される経路です。 期待を超える報酬刺激によって、VTAに存在するドーパミンニューロン(DAニューロン)が興奮し、NAcでのドーパミン放出量が増えます。 …

痛みを調節する仕組み~pain modulationのメカニズム~

痛みは、侵害刺激を受容するTransductionから始まり、Conduction(活動電位の伝導)、Transmission(シナプスでの神経伝達物質を介した伝達)という仕組みを通じて、末梢から脳まで伝わり、Perception(知覚)されます。 そして、この知覚された痛み感覚・痛…

侵害受容性疼痛の神経生理学を理解する

疼痛は原因別に大きく3つに分類することができます。 侵害受容性(炎症性)疼痛 神経障害性疼痛 心因性疼痛(認知性疼痛) 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛は、器質的な異常に起因することから、器質性疼痛と呼ばれます。一方、心因性疼痛のように明らかな器…

運動がもたらす鎮痛効果〜Exercise induced hypoalgesia(EIH)〜

運動療法は理学療法士が臨床で行う頻度が多い介入の1つです。 運動療法とは 身体の全体または一部を動かすことで症状の軽減や機能の回復を目指す療法(Wikipedia「運動療法」より引用) であり、臨床上ではROM exや筋力トレーニングから歩行練習、有酸素運動…

「動かさない」が痛みを引き起こす~immobilization induced pain~

骨折のように身体組織に何らかの損傷が起きたとき、組織の修復を図るために「安静」や「固定(不動)」が必要になることがあります。 代表的な例は、骨折や手術後のギプス固定ですね。 組織治癒を得るためのこの処置により、関節可動域制限や筋力低下といっ…

痛みのきそ~痛みの定義と多面性~

整形外科理学療法において、痛みはもっとも問題として挙がることが多い症状ではないでしょうか? 人の痛みについては、まだまだ解明されていないこともありますが、分かってきていることも多くあります。 この、「分かっていること」をきちんと押さえておく…

中枢性感作症候群と中枢感作-概論-

今回のテーマは中枢性感作症候群(Central sentivity syndrome:CSS)です。 CSSについて報告したYunus (2008) の論文を中心に紹介していこうと思います。 また、CSSに関与するとされる疼痛の中枢性感作(Central Sensitization)についても、その概要に触れて…

鎮痛剤の種類と作用機序

整形外科疾患で最も多い症状は「痛み」でしょう。 理学療法が処方される前から何らかの鎮痛剤を処方されている方がほとんどだと思います。 したがって、理学療法士は、鎮痛剤の種類、作用機序、効果が続く時間、副作用などなど薬剤に関する知識をしっかりと…